『世界は美しい。戦う価値がある』──そうなのですか?
「初めて外の世界へ出た時から、わくわくしているよ。広い平原に大きな海、さまざまな人々との出会い……素晴らしいものだ」
「少なくとも、後半部分はそうだと思う」
「さてね。確かに美しいだろうさ。でも俺は、世界なんかのために戦ってあげないよ」
「さあね。美しさなんて関係ない。私は戦いを望まない」
「美しい? ハハッ」
「美しくてたまるもんか。ねえ?」
「どんな日も空は美しかった。ああ、笑えるほどに、美しかったよ」
「そうだな。……ああ、そうなんだろうな」
「僕の見てきたものを美しいなんて、言えないよ。戦っても、戦わなくても、僕らはいつか。それでも……」
「俺の世界を守るためならば、そうだね。戦おう」
「世界は美しいのですか? 戦う価値はあるのですか?」
「その二つの文はどのように繋がるのです?」
「世界は美しい、だから戦う価値がある」
「世界は美しい、けれど戦う価値がある」
「文が間違っている可能性も考慮するならば?」
「八通り」
「世界は美しい、だから戦う価値がある」
「世界は美しい、けれど戦う価値がある」
「世界は美しい、だから戦う価値がない」
「世界は美しい、けれど戦う価値がない」
「世界は美しくない、だから戦う価値がある」
「世界は美しくない、けれど戦う価値がある」
「世界は美しくない、だから戦う価値がない」
「世界は美しくない、けれど戦う価値がない」
「世界とは?」
「美しいとは?」
「はてさて」
「さてはて」
「興味深いものがたくさんあります」
「人間界は宝箱のようです」
「星になった天使界は綺麗でした」
「神々の住まいは言うまでもなく、魔界でさえ刺激的です」
「戦う価値はあるのでしょうか?」
「戦うとは? 価値とは?」
「はてさて」
「さてはて」
「僕達はもと天使」
「行き場を失った半端者」
「そんな僕らが世界をどうこうなど」
「女神様がなんと仰るでしょう」
「はてさて」
「さてはて」
「それでもやはり」
「それでもやはり」