【D】落書き57

拍手ありがとうございます。









『世界は美しい。戦う価値がある』──そうなのですか?












「初めて外の世界へ出た時から、わくわくしているよ。広い平原に大きな海、さまざまな人々との出会い……素晴らしいものだ」




「少なくとも、後半部分はそうだと思う」




「さてね。確かに美しいだろうさ。でも俺は、世界なんかのために戦ってあげないよ」

「さあね。美しさなんて関係ない。私は戦いを望まない」




「美しい? ハハッ」

「美しくてたまるもんか。ねえ?」




「どんな日も空は美しかった。ああ、笑えるほどに、美しかったよ」




「そうだな。……ああ、そうなんだろうな」




「僕の見てきたものを美しいなんて、言えないよ。戦っても、戦わなくても、僕らはいつか。それでも……」




「俺の世界を守るためならば、そうだね。戦おう」










「世界は美しいのですか? 戦う価値はあるのですか?」

「その二つの文はどのように繋がるのです?」

「世界は美しい、だから戦う価値がある」

「世界は美しい、けれど戦う価値がある」

「文が間違っている可能性も考慮するならば?」

「八通り」

「世界は美しい、だから戦う価値がある」

「世界は美しい、けれど戦う価値がある」

「世界は美しい、だから戦う価値がない」

「世界は美しい、けれど戦う価値がない」

「世界は美しくない、だから戦う価値がある」

「世界は美しくない、けれど戦う価値がある」

「世界は美しくない、だから戦う価値がない」

「世界は美しくない、けれど戦う価値がない」

「世界とは?」

「美しいとは?」

「はてさて」

「さてはて」

「興味深いものがたくさんあります」

「人間界は宝箱のようです」

「星になった天使界は綺麗でした」

「神々の住まいは言うまでもなく、魔界でさえ刺激的です」

「戦う価値はあるのでしょうか?」

「戦うとは? 価値とは?」

「はてさて」

「さてはて」

「僕達はもと天使」

「行き場を失った半端者」

「そんな僕らが世界をどうこうなど」

「女神様がなんと仰るでしょう」

「はてさて」

「さてはて」

「それでもやはり」

「それでもやはり」













この うつくしい 
宝石 の ような 
いとしい 世界。