「わああっかっれええええええ」
思いっきり叫んだら後頭部を殴られた。俺は恨みがましい眼で殴った奴を見るが、奴はゴーグルをつけて素知らぬ顔。くっそ、あとで覚えてろよこの脳筋! ボキャ貧だからってこの他人が辛さに苦しんでる時に暴力で突っ込むなよな!
まあそんなことは置いといてだ。あのかぷりこん? とかいう奴はダメだ。全身から辛いオーラが出てる。こっちの皮膚どころか目、舌までヒリヒリしちまう。
「なあなあその氷菓子? くれ!」
博士が何か取り出してた。何だろう、氷の結晶みたいだけど美味そう。手を伸ばそうとしたら引っ込められた。
「ダメだよ、それよりこれはこう使うの!」
博士はそう言って、思いっきり氷の結晶を投げつけた!
唐辛子の化け物が悲鳴を上げる。なるほど、見た目火っぽいなと思ってたけど本当に氷に弱いんだ。
「みんなこれ持ってて!」
博士がどんどん氷を投げつける間に、ノアことイエローがちっこいものをみんなに向かって放る。それぞれが掌に落ちたものを覗き込んだ。
「何だ、これ」
「ホーリーキャンディだよ。アイツ対策に一応持っといて」
尋ねたグリーンにイエローが答える。それから休むことなく袋の中から重そうにまた袋を取り出す。ライトが重そうなそれを手伝って持つ。何で大袋の砂糖なんて持ち歩いてるんだろう。ま、いっか。
俺はキャンディを口に含む。うん、めっちゃ美味い!
「ちゃっちゃと片づけるぞ」
「おう、やるぜッ!」
ブラックが駆け出していく後ろに意気揚々と続く。俺は今、すっごく機嫌がいい。だって、美味い菓子食えて元凶もボコれて、一石二鳥ってもんだからな!
「これは腹減った分!」
「散々食い物探して歩き回った分!」
「無駄に戦闘させられた分!」
「スープが無駄になった分」
「何度も危ない目に遭わされた分!」
「えっと……何もないけど連れて来られた分!」
男六人で恨みつらみを口にしながら唐辛子を剣で叩いて、博士は後ろから氷の結晶をまいて。俺達は未だかつてない連帯感に包まれていた。
主人公共闘企画リレー小説、六巡目十七番目です。稲野さんから「氷の結晶」頂きました。
Ⅹはお祭り要素満載ですね。余計手出すのやめようと思いました。
次は夏ミカンさんへ。回すアイテムは「ホーリーキャンディ」です。
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